インテリアコーディネーター試験は難しいの?

インテリアコーディネーター資格を取得してインテリア業界で働いてみたいなとか、インテリアコーディネーターの資格を取ろうと思っている方に、インテリアコーディネーターの資格試験のどこが難しいのか、私なりの分析と私見を述べてみます。

ご参考になれば幸いです。

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インテリアコーディネーター資格試験の難易度

インテリアコーディネーター(IC)試験結果レポート

インテリア産業協会の毎年発表しているレポートインテリアコーディネーター資格試験結果 | 公益社団法人インテリア産業協会公益社団法人インテリア産業協会 (interior.or.jp)によると、一次試験の受験者の合格率34%、一次・二次試験を通じた合格者24%台は難しい試験だといえます。

1次試験基準点

1次試験の合格基準点や採点の結果は公表されず、合否結果の通知のみ郵送されます(郵送申込みの場合)。

2021年度より受験票と合否通知は、登録したパーソナルページからダウンロードする方法に変更になりました。

1次試験の合格ラインは上位30%と、年度により変わってきますが総得点の正答率70%~75%と言われておりますので、満点を目指す必要はなく80%の正答率であれば合格圏内だと思われます。

2020年度を詳しく分析

男女比

合格者の男女比率は1:3で、女性の合格者数が男性の3倍多い傾向があります。

業種別

業種別の合格者数では、インテリア業務に携わる新築(31%)・リフォーム(11.1%)・内装関連の施工(2.2%)・家具(造作家具含む)(5%)に対して、学生・主婦・無職・その他(22.6%)と実務経験がなくても試験に合格しています。

取扱品目別勤務先

勤務先の取扱品目別では新築・リフォーム・デザイン、設計関連に勤務している人が約2/4の割合に対して、学生・主婦・その他が約1/4になっています。

2018年の資料によると、大学院・大学・短大生(7%)・専門校生(5.2%)・高校生(0.1%)・主婦(6%)で、主婦も学生並みに奮闘していることがうかがえます。

その他(9.6%)の人達は建築・不動産・インテリア・設計以外の仕事に従事していて合格された方、建築やインテリアの会社に属さないで、派遣などでインテリアの仕事に従事している方も含まれます。

1次試験

1次試験は範囲が広いためそれなりの時間をかけて攻略する必要があります。

マークシート方式ですが、問題量が多く制限時間内に最後まで目を通せたら優秀です。

分からないところは飛ばして、時間が余ったら戻って見直ししたいところですが、知識が無くわからないところは仕方ないので、8割正解を目指して、分かっているところを落とさないようにして、マークシートの解答の記入ずれなどをしていないか注意しましょう。

日常生活に密着した分野や一般常識的な所と専門知識が必要な所と別れますが、これはインテリアで関連のある商品が、設備や建築などと密接に関係する為に、それらの納まりや施工方法・名称の知識を広く知っておかないと最終的に納めることが難しいためです。

例えばリビングにカーテンを取り付ける場合、お好みのスタイルによりカーテンボックスを造作したり、装飾レールを選ぶ場合は壁にカーテンやレールの荷重の為の補強をするため、建築構造や施工方法も関係してきます。

リビングボードを壁面ぴったりに納める場合は壁下地に補強をする必要があります。

壁下地の補強が無理な場合は、既成の置き家具や下地補強の必要のないユニット家具で提案しますが、建築構造や家具の構造が関係してきます。

ブラケットや間接照明を計画段階から提案した方がお好みのイメージにあう場合は、建築構造や電気配線が関係してきます。

リフォームのアイランドキッチンのシンク排水の位置は配管の勾配の取れる位置か、換気ダクトはどのようにひくのか、ご要望をかなえる施工材料と施工価格では、どんな提案が考えられるか、インテリア商品だけでなく、キッチン設備や施工も関連してきます。

配線や配管の確認もクロスや床を施工してしまってからでは、やり直しの手間がかかるので、施工の段取りのタイミングを計って現場チェックに行く必要があります。

インテリアは居住空間の、目に見える部分なのですが、建築構造部分から内装までを繋ぐ役割があり、広範囲の知識が必要になります。

色彩計画やカラーコーディネートは服飾やアートにも応用できます。

建具や家具の構造を知ると、日常生活でも補修・修理など、自分でできるようになります。

普段自分でやっている方は丁番や、家具・建具の構造や名称はなじみがあることでしょう。

仕事に就いてから、その分野の専門知識を付けていけばよいのですが、どの分野で就業するにしても必要な一般的な知識を広く浅く全般的に勉強するので、勉強する範囲が広範囲になっています。

人によって一次試験の難易度が分かれるのには、生活経験や得意分野の違いがあるからだと思われます。

合格者の2割が実務経験のない層なのは、これらの身近な経験が生かされていることや、それらの経験が、これからの仕事の強みになるということです。

家具関連の仕事に就いている場合は、家具の構造や名称はいつも説明しているので、十分な知識があると思いますし、照明や設備メーカーの方は配線計画や施工図面はいつも見ていることでしょう。

私自身の感覚としては一次試験の勉強は独学でも大丈夫かなと思います。

馴染みのない専門分野は、興味を持ってご自宅の設備などを「こうなっているのか」と観察して確認しながら勉強すると知識が蓄積されますし、ご近所に建築現場がある場合はどんな工法で作っているのかなど、出来上がる過程を楽しんで「あれは布基礎だ・木軸在来工法だ、そろそろ上棟だ」とだんだん出来上がってくる建物を通りすがりに見守ると面白いです。

ご自身の興味のある得意な分野から始めて、不得意な分野は何度も繰り返して反復学習して記憶を定着させましょう。

並行して、過去問を解いて分からないところや、間違ったところの理解を深めていきましょう。

2次試験

1次試験に合格すると2次試験を受験することが出来ます。

1次試験の合否結果は11月下旬に出るので、1次試験に合格してから、同年の2次試験に申し込むことが不可能なために、同年に1次試験を突破して2次試験も受験する場合は、7月の受験申込の時点で(基本タイプ)に申し込む必要があります。

ただし、基本タイプは1次試験が不合格となった場合、2次試験を受験できませんので、2次試験分の受験料分が無駄になってしまいます。

とりあえず1次試験のみ受験して、計画的に実技の実力を付けてから、次年度以降に2次試験を受験する場合は1次試験のみ受験(先取りタイプ)の申し込みで受験料を抑えることが可能です。

1次試験を突破する自信がある場合は、(基本タイプ)にして2次試験受験の機会を増やしましょう。

2次試験は、1次試験に合格した場合に次年度から3年間は、1次試験が免除されて2次試験のみ受験できます。

1次試験の合否判定通知に記載された、1次試験免除通知番号を2次試験の申請書の所定欄に記入することにより、次年度以降3年間は1次試験の免除申請ができます。

2次試験の論文や実技は、得意な分野や表現技法が出題されるとは限りません。

受験機会を増やすためにも(基本タイプ)で申込みすることをお勧めします。

2次試験は論文と実技のため、初学者や経験のない方にはとても難しいです。

(基本タイプで)同年1次試験突破組の1/3は2次試験も合格しているようですが、2/3は次年度以降の2次試験に備えているようです。

建築やインテリア関連の専門校生がストレートに1次・2次試験を同年で突破したと仮定すると、ほとんどの方は次年度以降も2次試験を受験することが予想されます。

2次試験の難しさは限られた時間内で、課題の要求条件を満たすプレゼンテーションを分りやすく完成させることです。

以前(2010年以前)は、論文とプレゼンテーションの試験時間が午前と午後で分かれていました(論分80分)(プレゼンテーション140分)。

現在は(2011年~)、試験時間が180分と短縮されて、論文とプレゼンテーションの課題を時間配分を考えて完成しなければなりません。

実技(プレゼンテーション)

建築やインテリア関連の仕事に従事していても、時間配分を考えながら、要求条件をすべて満たして記入漏れをしないように完成する必要があり、課題の読み違いをすると、書き直す余裕はない時間配分です。

いつもの仕事の延長で試験に挑むと難しいでしょう。

受験対策として要求項目などを意識して図面を描く作図練習に取組まないと不合格になってしまいます。

要求項目は毎年変わってきますが、インテリアエレメントの高さの記入、天井照明の破線表示、床・壁・天井の材料記入など、課題の要求項目の記入漏れを見直しする余裕がなければ、減点されてしまいます。

見直しする時間が取れても、自分の図面は客観的に見られないので、注意が散漫して見落としがちになります。

180分の制限時間内に論文とプレゼンテーションの作図を完成させることは、時間内に仕上げる模擬テストの様な練習を何度もしないと、難しいと思われます。

論文

日頃からインテリアに関連のある記事やニュースに触れて、インテリアコーディネーターとしての考えを深める必要があり、〈~である調に書く〉とか、〈制限文字数内に書く〉とか、〈漢字練習〉などの対策をとっていても、知識のない論文課題が出題されるとお手上げです。

2次試験受験のチャンスを1回でも有効にするために、〈基本タイプ〉での受験をお勧めします。

まとめ

  • インテリアコーディネーター資格試験は難しい
  • 1次試験は経験がなくても独学で合格できそう
  • 2次試験は次年度受験でもOK
  • 資格受験対策用の作図練習は必須
  • 受験申請は〈基本タイプ〉

いかがですか?この記事がご参考になれば嬉しいです。

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